第二十二条

よんどころなき頼母子(たのもし)は初めよりやわらかに受けて、頭掛け ばかりにて充分うつくしく言いて除くべし。商売仲間に付きたる時は格別、伊勢講、その他の講も無用なり。尤も人の身上の洗濯は頼母子と出かけねばならず、夫は脇に居て一段と挨拶あるべし。

第22条

どうしても避けられない頼みごと(頼母子)は、最初から柔らかく受け入れ、頭を少し下げるように礼を尽くし、美しく丁寧な言葉で断るのがよい。
商売仲間との付き合いの場合は特に、伊勢講やその他の集まりに参加する必要はない。
などただし、人生の大きな節目となるような身上の行事(結婚や身内の大事)は頼母子に出席しなければならず、その際には夫は傍らにいて、より丁寧に挨拶をするべきである。

【語句解説】

  • よんどころなき頼母子(たのもし):どうしても断れない、または避けられない頼みごとや誘い。ここでは「頼母子」というのは人に頼まれた用事や行事のことを指す。
  • 頭掛け:頭を少し下げること、丁寧な礼のしるし。
  • 充分うつくしく言いて除く:礼儀正しく美しい言葉でお断りする。
  • 商売仲間に付きたる時は格別:商売の関係の付き合いのときは特別に配慮する。
  • 伊勢講、その他の講:伊勢神宮参拝のための集まりや、地域・職業の講(集まりや会合)。
  • 身上の洗濯:人生の節目、身内の大切な行事。
  • 頼母子と出かけねばならず:頼母子の行事には必ず参加する。
  • 夫は脇に居て一段と挨拶あるべし:夫は側にいて、より丁寧にあいさつするべき。

【解説】

  • 断りづらい頼みごと(頼母子)は、最初から柔和に受け止め、礼儀正しく丁寧に断るべきというマナーの教えです。
  • 商売関係の付き合いでは、こうした断り方に特に気を使い、無用な会合(伊勢講など)に出る必要はないとしています。
  • 一方、人生の重要な節目となる行事(結婚式や葬式など)は必ず参加し、夫婦で礼儀正しく振る舞うことが望ましいと説いています。

【要点】

どうしても避けられない頼み事は、柔らかく丁寧に受け止め礼儀を尽くして断れ。
商売の付き合いであれば、無理に講の会合などに出る必要はない。
ただし、身上の大切な行事には必ず出席し、夫婦で礼儀正しく振る舞え。

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