第十七条
浄瑠璃かたり、山師、酒狂の癖のある人、立ち入り無用なり。法は随分有難き物なれど、出家衆、儒者衆、神道者、山伏達の表立ちたる用心の他にひたひた出入りて吉事は出来ぬものなり。芸者、山師の様に嫌えとにはあらじ、医師は是も諸家者流れなれど、人柄さえ良くば近づくべし。但し、病人ある時は人柄も義理もいらず。
この条文(一七)は、人間関係において付き合うべき人・避けるべき人の見極め、そして状況による接し方の柔軟性を説いています。特に、世間との付き合い方や信仰・芸能・医療との距離感など、実生活に根差した処世訓が表れています。
第17条、
浄瑠璃を語る者、山師(詐欺師まがいの者)、酒癖の悪い人などは、家に立ち入らせるべきではない。
宗教や学問はたいへんありがたいものであるが、出家(僧)、儒者、神道者、山伏などが、表立った目的や用件もなく、頻繁に出入りするようでは、良いことは起こらない。
芸人や山師のような人々を、無闇に蔑んで避けよというのではない。
医者もまた各家に出入りする職ではあるが、人柄がよければ親しくしてもよい。ただし、病人が出たときには、人柄も礼儀も関係なく、すぐに診てもらうべきである。
解説
この条文では、以下のような人物の見極め方・立ち入りの是非について述べています。
① 家に入れてはならない人
- 浄瑠璃語り:娯楽芸能に関わる人。ここでは放蕩・非生産的なものの象徴。
- 山師:詐欺師的な人物。うまい話で人を騙す。
- 酒狂の癖ある人:酒に溺れて理性を失う者。家庭に混乱をもたらす。
これらの人物は、一見面白そうでも家庭に害をなす存在とされ、出入りを禁じています。
② 宗教・学問関係者も要注意
- 出家、儒者、神道者、山伏などは本来尊ぶべき存在。
- しかし、**「表立ちたる用心の他にひたひた出入り」**する(=正当な目的もなく出入りが頻繁)ような場合は、かえって家運にとって良くない。
- つまり、いかに高尚な職であっても、節度を欠けば信頼を損なうという実務的な見方。
③ 芸人・山師などへの距離の取り方
- 「嫌えとにはあらじ」=芸人や山師を一概に忌避せよというわけではない。
- 要は、近づきすぎるな、節度を持てという教え。
④ 医者との付き合い方
- 医者も「諸家出入りの職」=多くの家に関わる職種。
- 人柄がよければ親しくしてよいが、病気の時は別。
- 病人が出た場合は、「人柄も義理もいらず」=とにかくすぐに診てもらうことが最優先。
- これは、人間関係の礼節よりも実利を優先すべき状況があることを示しています。
現代的な応用
- 信頼できない人物(依存傾向・詐欺気質のある人)には近づかない。
- どんなに高尚な肩書きでも、節度を持って接しない者は避ける。
- 芸能や遊興とは一線を引いた付き合いを。
- 緊急時(医療など)は人間関係よりも専門性を最優先せよ
この条文は、
- 「人を肩書きで判断するな、実際の振る舞いと距離感が肝心」
- 「家庭の内に入れる人間は選べ」という現実的で実践的な生活の知恵 を教えています。
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