第十四条
人に披露したき能道具、もらい候も無用なり。扨又(さてまた)、当分入用にこれなき屋具、結布等、下値に買置くより入用の節に高値に買うべし。
この条文(一四)は、無用なものを持たない慎ましい生活態度や、道具や持ち物への心構えを説いています。以下に現代語訳と詳しい解説を記します。
第14条
人に見せびらかしたくなるような能の道具などは、たとえもらったものであっても無用なものである。
また、すぐに使う予定もない家具や布(結布のような贈答品や包装布)などを安いうちに買い置いておくよりも、実際に必要になったときに高くても買う方がよい。
解説
この条文は、次のような生活哲学・節度の精神を教えています。
① 虚栄を戒める(能道具を披露したき心)
- 「人に見せたい」と思うような高価な能道具(芸道の道具)を持つ必要は ない。
- それが贈り物であっても、虚栄や見せびらかしの心があるなら不要。
- **「持ち物は身の丈にあったものでよい」**という価値観がにじんでいま す。
- ここでの「能道具」は芸事だけでなく、見せびらかしたくなる高級品全般の象徴とも取れます。
② 先回りして買い込まない(屋具・結布など)
- まだ必要でない家具や贈答品(結布)を、安いからといって買い置くのは慎むべき。
- 必要なときに、高くてもその時に買えばよい。
- 安さを理由に「無駄な所有」を増やすのではなく、必要なものだけを必要なときに持つという潔い精神がうかがえます。
現代的な応用
- 「セールだから」と買うのではなく、本当に必要なときに買うべき。
- ブランド品を人に見せるために持つようなことは慎む。
- 物を所有すること自体に価値を置かない「ミニマリズム」に通じる考え方 でもあります。
補足:「結布(けちふ)」とは?
- 結布とは、贈答や包みに用いられた布で、贈り物の体裁を整えるもの。
- ここでは、日常ではあまり使わないが体裁のために用いる品の象徴として挙げられています。
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