第十一条

少しにても名聞と自慢は表に恥を招き、裏には簡略の障りをするものな り。

この短い条文は、名声欲や自慢心がもたらす害について端的に警告するものです。以下に、現代語訳と解説を示します。

第11条

たとえ少しでも、名声を得たいという思いや、自慢する心があると、表向きには恥をかく原因となり、内面では、倹約(簡略)を妨げるもととなるものである。

解説

  • 「名聞(みょうもん)」:
     名声を求めること。他人に「立派な人だ」と思われたいという、世間体を気にする心。
  • 「自慢」:
     自分の功績や財産などを誇り、他人に誇示しようとする態度。
  • 「表に恥を招き」:
     名声欲や自慢からくる言動は、かえって他人から「浅ましい」「みっともない」と思われ、表向きの恥となる。
  • 「裏には簡略の障りをする」:
     自慢したい気持ちや体裁を保とうとする心は、倹約・質素(=簡略)の実行を妨げる。
     つまり「見栄を張るために余計な出費をしてしまう」ようになる。

要点まとめ

  • 名声を求めたり自慢したりする心は、自分で思っている以上に周囲に見透かされ、恥を招く。
  • また、それは質素・倹約の妨げとなり、本来の生活の美徳を損なう。
  • 本当に慎み深く、簡略を重んじる人は、見栄や誇示心をもたない。

この文は、まさに現代にも通じる教訓です。
たとえばSNSでの「映え」や承認欲求も、度が過ぎれば人間関係や金銭感覚を狂わせる。
その根本にあるのは、この「名聞」と「自慢」の心かもしれません。

自慢心を捨てて、静かに質素に生きることが、最も恥なく、調和のとれた道である——
そういうメッセージが、わずか一行に凝縮されています。

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