第五条

御上(おかみ)へ相障りの儀は勿論、凡て(すべて)盗人に用心、火の用心、家の患い、怪我ごと、隣家へ障ること、このことに相障る衣服、道具、普請などは一日も差置かず、少しでも早まる程に、損利を言わず、早速に相調え、その他の衣服、普請、道具は堪忍して相成る丈(たけ)は延(のば)し、勿論五品を三品に済まし、二品を一品にして、外聞(がいぶん)悪しき程にてもよし。

この文は、生活の中で優先すべきことと、そうでないことの区別を教える実用的な教訓です。特に「安全・他人への迷惑防止・公への配慮」を最優先にし、それ以外のことは質素・倹約に徹しなさいという内容です。

第5条

御上(おかみ)への迷惑になるようなことはもちろんのこと、すべてにおいて、盗難に対する用心、火事の用心、家の中の災い、怪我など、あるいは隣の家に迷惑をかけるようなことに関して、それに関わる衣服・道具・建物(普請)などは、一日たりとも放置せず、少しでも早めに、損得を言わずに、すぐに整えなければならない。

それ以外の衣服・建築・道具などについては、我慢できる範囲でなるべく後回しにしてよい。
当然ながら、五つの品を三つに減らし、二つの品を一つに減らし、見た目が悪く、体裁が悪いと思われるほどであってもかまわない。

解説ポイント

  • 「御上へ相障りの儀は勿論」
     → 法や政治権力(幕府や藩など)に反することは当然厳禁。
  • 「盗人に用心、火の用心…」
     → 日常生活の中で、災害やトラブル、他人への迷惑にならないような配慮が何より大切。
  • 「相障る衣服、道具、普請など」
     → 例えば火事につながる着物や、怪我をしやすい道具、隣家に迷惑をかけるような建物など、安全や他人への配慮に関わるもの。
  • 「損利を言わず、早速に」
     → 損得勘定は抜きにして、まずは速やかに整備・修理すべきという姿勢。
  • 「五品を三品に済まし…」
     → 贅沢を慎み、体裁を気にせず質素に暮らすべしという教え。

要点まとめ

  • 他人や社会に迷惑をかける恐れのあることは、最優先で手を打て。
  • 安全や配慮に関わるものは、即刻整える。費用や手間を惜しむな。
  • 見栄や外聞、贅沢は後回し。減らしても問題ない。
  • 倹約・堅実な生活を尊ぶ姿勢を持つこと。

このように、江戸時代の庶民向けの実践的な人生訓として、現代でも通じる「安全第一・質素倹約・公徳尊重」の精神が感じられます。

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